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青森

本州の最北の割には、全体にハイキングコース的な山が多い。ロープウェイ、スカイラインを使えば、1日2座(岩木山、八甲田)も簡単かと思うもさに非ず。

青森の山の最高峰は岩木山で、標高1624.7mだ。次に標高が高いのは八甲田連峰で、主峰・八甲田大岳1584.4mを中心に、1200〜1500mの17座が続く。さらに白神山地の向白神岳の1250mと白神岳1235m、十和田湖湖畔の三ツ岳1159.4mなどがある。したがって、県内では標高1000mを超えると高山と言え、登山対象は600〜800m級が中心となる。

八甲田大岳を中心とする八甲田連峰、スカイラインで登れる岩木山、世界遺産で人気の白神岳、県南部の階上岳(はしがみだけ)は、いつも登山者が多い。しかし、これ以外の山では、ほとんど人と会うこともなく、静かな山行ができる。

本書では、ふるさとの山60座を選んだ。基準は、登山道のある山、初心者でも登れる山、高山を除き2時間以内で登れる山、季節を変えて何度も登れる山とした。初心者から中級者が楽しめる山を主に、残雪期に楽しく登れる山を一部加えている。

青森県の山の特徴は、美しいブナ林とヒバ林だ。また、数少ないながらも高山植物が咲く。標高は低いが、ブナ林の山、ヒバ林の山、新緑・紅葉の山、海や湖が見える山、信仰の山など、どの山も個性があり、それぞれ魅力的だ。

下北半島

斧のように伸びる半島には大きな山脈はない。比較的火山活動が活発だった恐山地区に、釜臥山を筆頭に大尽山(おおつくしやま)、小尽山(こづくしやま)、丸山などの山々が連なる。半島北部には火山活動でできた燧岳をはじめ黒森山、矢筈山など低いながらも楽しめる山がある。半島西部には岩峰の縫道石山があり、岸壁の地衣類が国の天然記念物に指定されている。半島東端、海岸段丘の桑畑山の山頂付近には高山植物が咲き乱れる。

上北地方

下北半島中央部・基部には、吹越烏帽子、知る人も少ない月山がある。烏帽子岳は古くから登られていた。

津軽半島

半島の中央部を中山山脈が走り、その突端にある増川岳が最高峰で、半島全体での最高峰は主脈からはずれた丸屋形岳だ。主脈の中央には大倉岳、また基部に梵珠山がある。いずれも青森ヒバの主産地で、早くからヒバが伐り出されていた。近年、さらに林道が延び、登山は楽になった。半島の基部西端には、日本で唯一、天皇の名のつく天皇山がある。

青森周辺の山

八甲田連峰とその周辺

八甲田山は南北18峰によって構成される山の総称で、R103を境として南八甲田と北八甲田に分かれる。南八甲田では、主峰。櫛ヶ峰をはじめ駒ヶ峰、猿倉岳、乗鞍岳、南部赤倉岳などに登山道がある。山腹や山麓には高層湿原が広がり、季節の高山植物が咲き乱れる。山懐が深いため入山者は比較的少なく、静かな山登りが楽しめる。一方、北八甲田の主峰は八甲田大岳で、田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、小岳、高田大岳、雛岳など甲状の山々が連なる。ロープウェイがあるため、多くの人が訪れ、よく整備されて安心して歩ける。また、北八甲田の山ができた際に田代箒場岱はカルデラ湖だったといわれ、その外輪山が石倉山、八幡岳、黒森だ。

十和田湖周辺

十和田湖の火山活動は15〜20万年前に始まり、平安時代に現在の姿になったと言われる。湖岸に積もった火山灰が流水の作用などで円錐形の山になった。三ツ岳、大駒ヶ岳(戸来岳)、十和田山、十和利山など標高1000m前後の山が連なる。白地山は例外的に平らな山になっている。湖岸が切り立っているために高く見えるが、湖の標高が400mあるので実際は登りやすい山が多い。四角岳も十和田湖の火山活動の影響を受けた山と考えられる。

県南部の山

県の南部に位置する階上岳、名久井岳は海底の隆起によってできた山で、鯨の化石などが多く発見されている。階上岳は八戸市から近いこともあって、いつも多くの登山者と出会う。いずれも地元の人たちに愛されている山だ。

岩木山周辺

青森県の最高峰・岩木山は津軽平野のどの位置からでも秀麗な姿を眺めることができる独立峰。見る位置によって少しずつ姿が変わり、「おらほの町から見るのが一番」と張り合う気持ちがわかる。

周辺の山として南津軽の久渡寺山や阿闍羅山(あじゃらやま)がある。これらの山々から遠望する岩木山の姿は津軽富士の名に恥じない。黒石市郊外の田代山は、知る人が少ない山だが、初夏には高山植物を見ることができる。

白神山地

1994年、世界遺産に登録され一躍有名になった。主峰は向白神岳だが、登山道はササで被われ、主峰に次ぐ位置の白神岳が多くの登山者を迎えている。崩山は十二湖観光とあわせて訪れる人が多い。山地中央部にある天狗岳は、ブナ原生林の中央にある山で、白神山地の好展望台だ。茶臼山は白神山地を遠望する山として捨てがたい。崩山、茶臼山以外は、登山時間が長く、山稜が急峻だ。


Last modified: Wed, 18 Dec 2019 19:20:35 +0900
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