ホーム > 野山歩き > 鳥取

鳥取

鳥取県は中国地方の東北部に位置し、東西約20〜50kmと、東西に細長い県である。北は日本海に面し、南は中国山脈を配している。県の総面積は35万km2、そのうち森林は26万km2(74%)を占める。県面積の2/3が山地であることからも、山との関わりが深い地方であるといえる。江戸時代、県東部の因幡地方では、原料となるミツマタやコウゾを産し、豊富な水資源とあいまって、和紙製造が盛んであった。

江戸時代後期になると、智頭宿を中心に千代川では杉の筏流しも盛んに行われ、若杉峠から芦津渓にかけて、沖ノ山国有林を中心とした杉の生産が有名である。一方、県中西部の伯耆地方では、江戸時代から明治初頭にかけて、日野川流域を中心にタタラ製鉄が盛んであった。宝仏山や古垰山(ふるたわやま)が位置する日野地方では、カンナ流しによる砂鉄の採取が盛んに行われてきた。金ヶ谷山(けねがやせん)、金屋谷、金山など、タタラに関する地名も数多い。

他方、登山史の面からみると、古くから信仰との関りが顕著である。県内では、中世にはじまる大山信仰がその代表だろう。大山の登山史をひもとくと、天保3(1832)年、浜田藩の国学者、岡部春平ら4名が大山寺から弥山に登頂(新暦7月25日)、明治時代に入り、明治39(1906)年ころには学校登山が盛んとなる。大山の冬山記録の古いものでは、明治43(1910)年ごろのものがある。昭和に入ると、昭和5(1930)年、小出博ら3名による一ノ沢登攀。昭和6(1931)年5月25日、池田滋、馬場正義の2名による北壁(元谷沢)登攀。昭和23(1948)年11月23日、港叶、岡田允克の2名による北壁大屏風岩初登攀がある。

県西部の山

伯耆大山、花見山、船通山、毛無山や宝仏山などが主だった山である。大山は浸食の激しい山として知られるが、山頂付近の自然保護活動も活発で、草地の復活が可能となった。西部地域では、一般的に風化や浸食の進んだ花崗岩質の山が多く、地形も段丘地形が多い。井上靖が日野の山地を「天体の植民地」と詠ったのは、地形的特徴をよく表している。花見山や鬼林山などの麓でその段丘地形が見てとれる。毛無山や金ヶ谷山は、岡山県との県境でもあるが、近年、鳥取県側からの登山が可能となった。

県中部の山

県中部では三徳山(みとくさん)、打吹山、若杉山、鉢伏山、船上山や矢筈ヶ山などが知られている。なかでも矢筈ヶ山山域は大山国有林の中心で、ブナの自然林が豊かである。打伏山はスタジイやタブノキなどの照葉樹が残る貴重な山で、三徳山は古来から山岳信仰の霊場として知られている。近年では健康登山のひとつとして身近な里山や林道歩きも盛んである。蜘ヶ家山(くもがいやま)や鉢伏山などがそんな山のひとつである。

県東部の山

県中部では三徳山(みとくさん)、打吹山、若杉山、鉢伏山、船上山や矢筈ヶ山などが知られている。なかでも矢筈ヶ山山域は大山国有林の中心で、ブナの自然林が豊かである。打伏山はスタジイやタブノキなどの照葉樹が残る貴重な山で、三徳山は古来から山岳信仰の霊場として知られている。近年では健康登山のひとつとして身近な里山や林道歩きも盛んである。蜘ヶ家山(くもがいやま)や鉢伏山などがそんな山のひとつである。

山の四季

春 県内の山々は県境に位置する高山帯と、中間山地から海岸部に至る低山帯(里山を含む)とに大別できる。春の訪れは、3月中旬ごろに里山ではじまる。桜よりひと足早く、コブシの花が咲きはじめるのはこのころである。3月中旬〜4月に入ると、里山ではスミレの類がいっせいに開花する。里山などの低山帯では、3月に入ると雪解けも終わり、快適な山歩きが可能となる。4月に入ると、金峯山、久松山(きゅうしょうざん)、打吹山、湊山など市街地の桜の名所では花見登山が可能となる。

春は駆け足で県境の山々にも訪れる。那岐山では4月中旬にイワウチワ(イワウメ科)が、5月上旬にシャクナゲ(ホンシャクナゲ?長野県、愛知県以西に本州、四国の山地に分布)が夫々咲き誇る。同じころ、毛無山や船通山などではカタクリ散策を楽しむ登山者も多い。伯耆大山では、5月中・下旬ごろが春の盛りとなる。ダイセンミツバツツジ、サンカヨウ(メギ科)、キスミレ(オオバキスミレに似るが、葉は平坦、花弁背面が紫色、本州中部から九州に分布)など、春の花々がいっせいに花をつける。県内の山々では、5月下旬ごろが年間を通じて最も快適な登山の季節となる。

夏 6月に入ると初夏を迎える。緑は刻々と濃さを増し、里山ではハルゼミが鳴き、夏を感じさせる。このころ、鷲峰山ではササユリ(本州中部地方以西に分布)やヤマツツジが登山者をなごませてくれる。7月に入ると梅雨空の日が多くなる。稜線に出ると、よく霧雨に出会うのはこのころである。7月下旬、梅雨明けとともに夏山の季節が訪れる。伯耆大山では、クガイソウ(マノハグサ科)、フウロソウ、シモツケソウ(バラ科)など夏の花がいっせいに咲く。弥山山頂や三鈷峰のあたりでお花畑が満喫できる。

秋 伯耆大山では、10月中旬になると稜線で紅葉がはじまる。10月下旬ごろから大山山系以外の山々でも秋の紅葉が始まる。高山帯の秋は11月上旬で終わり、11月中旬以降から里山や渓谷の紅葉が見ごろとなる。

冬 12月上旬になると、県内の高山帯からは雪の便りが多くなる。伯耆大山や氷ノ山では積雪も見られるが、本格的な冬山は年末から。低山帯では、12月いっぱい積雪を見ることは少ない。1月中旬以降になると、里山も雪景色の季節を迎える。市街地に隣接する里山では、積雪はあっても根雪となることはなく、雪解けの合間を見計らいながらの登山は可能である。冬といえども、行動中に汗ばむことは当然である。衣服や肌着は慎重に選びたい。アクシデントも想定されるので、危険予知やリスクマネージメントなど、危険回避の手法を登山でも十分に活用してもらいたい。



Last modified: Sat, 13 Jan 2018 20:59:49 +0900
inserted by FC2 system