ホーム > 野山歩き > 山梨
山梨
県域はわが国を南北に分かつ地溝帯(フォッサ・マグナ)の地域に含まれており、激しい地殻運動や火山活動が過去において行われた地域なので、地形や地質は複雑である。甲府盆地は、西側にフォッサ・マグナの西縁糸魚川・静岡構造線が南北に走っている関係で急崖をなす断層線によって南アルプスと限られており、北縁には開析のかなり進んだ火山八ヶ岳(2899m)があってそのなだらかな裾野が広がる。北東部から東縁部にかけては、深成岩や古生代の地層からなる秩父山地が金峰山(2595m)を主峰にそびえ、南縁部には富士山(3776m)との間に第三紀層からなる御坂山地が東西に走っている。盆地の水系は、北西から釜無川、北東から笛吹川の二河川が流れて盆地の南縁部で合流し、富士川となって山間部に峡谷をつくりながら南下し駿河湾へと注いでいる。この盆地は扇状地の発達が著しく、釜無川流域では赤石山地から流下する御勅使川、戸川などのつくった複合扇状地、笛吹川流域では重川、日川、御手洗川、金川などの扇状地が盆地の北東から南部にわたって並んでおり、盆地の地積の大半がこの扇状地群によって占められている。
県の東半を占める郡内地方は、南にそびえる富士山の北麓の五つの湖をたたえた高度1000m内外の広い裾野の地域と、五湖の一つ山中湖から流れ出る桂川が御坂山地や丹沢山地を刻んでつくった段丘地形の発達の著しい桂川流域部に分かれている。富士山は高さだけでなく、山容の大きさも巨大な火山で、直径約40kmの円形をなし、その北半分がこの県に含まれている。富士山北麓は溶岩流に覆われた部分が多く、五つの湖は富士山の噴火によってできた堰止湖である。
富士山周辺と御坂山塊
本県の高山の代表をあげよとなれば、これはもう富士山である。山梨県の山歩きをひとことで表わせば、「富士山を巡る山歩き」と言っても過言ではない。その周囲を取り囲む本県の山々からは、八面玲瓏とはいうものの、各々異なった姿の富士山を望むことができる。本書でとりあげた山々はすべて、多かれ少なかれ富士山の展望を売り物とする。標高、容姿、歴史、あらゆる点で傑出した山梨県、というより日本の山の象徴である。(分県登山ガイド/長沢洋)- 富士山(3776m):日本の文化を育んだ、国を象徴する山、技術度☆☆☆☆/体力度☆☆☆
- 石割山(1413m):ひたすら富士山を眺めながら歩く草尾根縦走☆☆/☆
- 倉見山(1256m):富士の大観と美しい樹林を楽しむ里山☆☆/☆
- 三ツ峠(1785m):200名山、山梨100名山、最も均整がとれた富士山、富士写真家のメッカ☆☆/☆☆
- 黒岳(1793m):富士山を友に、御坂山地最高峰を越えて縦走する☆☆☆/☆☆
- 節刀ヶ岳(1736m)・十二ヶ岳(1683m):御坂山地随一の鋭鋒2つを結んで縦走する☆☆☆/☆☆
- 鬼ヶ岳(1738m)・王岳(1623m):奥御坂の雄峰二山を結んで縦走する☆☆/☆☆
- 三方分山(1422m):歴史ある峠道と大展望を楽しむ周遊コース☆/☆
- 春日沢ノ頭(1235m):稲山ケヤキの森公園を基点に、樹林を楽しむ周遊コース☆☆/☆
- 竜ヶ岳(1485m):世にも美しい樹林の峠道から大展望の頂上へ☆/☆
- 本社ヶ丸(1631m):笹子川右岸の最高峰を越えて縦走する☆☆/☆☆
- 笹子雁ヶ腹摺山(1358m)・お坊山(1430m):甲州街道の最難所、笹子峠付近の山々を歩く☆☆/☆☆
県東部
- 御正体山(1662m):道志山塊最高峰へ信仰の道をたどって☆☆/☆☆
- 今倉山(1470m)・二十六山(1297m):道志山塊随一の赤岩からの展望、そして美しい尾根道☆☆/☆
- 高畑山(982m)・倉岳山(990m):桂川右岸の人気の山をふたつ結んで歩く☆/☆
- 大室山(1588m):道志川右岸、丹沢山地きっての大きな山容☆☆/☆☆
- 扇山(1138m)・百蔵山(1003m):桂川左岸で最も目立つ二山を結んで歩く☆☆/☆☆
- 権現山(1319m):東西に長大な稜線を持つ山、その東半分を縦走する☆/☆☆
甲府盆地北東部
- 要害山(780m)・大蔵経寺山(716m):「山梨百名山」2つで合わせ技一本☆☆/☆☆
- 棚山(1171m):人気のほっやらかし温泉から登る展望の山☆☆/☆
- 小楢山(1713m):高原情緒あふれる登山道を登り、温泉へと急降下☆☆/☆
- 乾徳山(2031m):森林を抜けて草原を通り、そして岩の頂上へ☆☆/☆☆
大菩薩連峰
- 黒川鶏冠山(1716m):武田氏の金山伝説に彩られた山を静かなルートで、☆☆/☆
- 大菩薩嶺(2057m):100名山、山梨100名山、北面の美しい森、南面の大展望、その両方を楽しむ、☆☆/☆☆
- 小金沢連嶺/小金沢山(2014m)・黒岳(1988m):大菩薩連嶺中心部、静けさに満ちた縦走、☆☆/☆☆
- 滝子山(1610m):大菩薩連嶺の掉尾(ちょうび)を飾る秀峰、☆☆/☆☆
奥秩父
2500m内外の、わが国では第一級の高さの山々を興しながら、県の北を限ってうねる。その中にあっては、なんといっても金峰山がこの山地の盟主である。その山容の膨大さは日本アルプス級の山にもめったにはなく、甲斐の国の北鎮たる貫禄充分である。金峰山を含む、甲武信岳から西に連なる長野県境をなす山稜は日本の中央分水嶺でもある。(分県登山ガイド/長沢洋)- 雲取山(2017m)・飛龍山(2077m):100名山、山梨100名山、奥秩父東端の峻峰を結んで歩く、技術度☆☆☆☆/体力度☆☆☆
- 甲武信ヶ岳(2475m):奥秩父のへそから日本三大峠のひとつ雁坂峠へ縦走する、★★★★/★★★、13年6月8-9日
- 笠取山(1953m)・唐松尾山(2109m):都民の水瓶、多摩川水源の山々を縦走する、☆☆/☆☆
- 金峰山(2599m):14年7月26日-27日、100名山、花の100名山、山梨100名山、甲斐の北端、奥秩父の盟主に登る最も楽なコース、★★/★
- 小川山(2418m):最も奥秩父らしい黒木の森を登る、☆☆/☆☆
- 瑞牆山(2230m):100名山、山梨100名山、天下の奇峰、花崗岩の王国をめぐる、★★/★★、14年7月26日-27日
- 横尾山(1818m):甲信の風景を振り分けに見る、日本の中央分水嶺を歩く、☆☆/☆
- 国師岳(2592m):300名山、山梨100名山
- 三頭山(1531m):300名山、山梨100名山
南アルプスとその前衛
県の中心である甲府盆地や、盆地を巡る山々のいたるところから望む南アルプスの大いなる山脈こそ、山梨県を代表する山岳景観である。北端の金字塔、甲斐駒ヶ岳、前衛の鳳凰三山、他見ではあるが、悪沢岳、赤石岳、聖岳の巨人たち、わけても白峰三山の堂々たる連なりこそ、甲斐の西の鎮にふさわしい。(分県登山ガイド/長沢洋)- 北岳(3193m):100名山、日本第二の高峰、山梨県を代表する山、甲斐ヶ根、技術度☆☆☆☆/体力度☆☆☆
- 間ノ岳(3189m):100名山
- 農鳥岳(3026m):200名山、山梨100名山
- 甲斐駒ヶ岳(2967m):100名山、雪と見まごう白砂の頂上、山の団十郎☆☆/☆☆
- 仙丈ヶ岳(3033m):100名山、南アルプスの女王に雄大なカールの淵をたどって登る☆☆
- 鳳凰三山/地蔵岳(2764m)・観音岳(2840m)・薬師岳(2780m):100名山、世にも美しい白砂の稜線歩きを楽しむ☆☆☆
- 甘利山(1742m)・千頭星山(2139m):展望の山ふたつを巡る周遊コース☆☆
- 日向山(1660m):登ってこそ分かる、山上の砂浜の奇観☆☆/☆
- 雨乞岳(2037m):気軽に登れるようになった、県北西部の大きな山体☆
- 櫛形山(2020m):南アルプスをも隠す大きな山体は植物の宝庫☆
富士川沿い
- 富士見山(1640m):富士川右岸に壁のように立ちはだかる山、技術度☆☆☆/体力度☆☆
- 身延山(1153m):山梨100名山、日蓮宗総本山の山、荘厳な参道を山頂奥ノ院へ☆/☆☆
- 七面山(1989m):七面大明神を祀る、山上の大伽藍☆☆/☆☆
- 篠井山(1394m):駿河に近い富士川右岸に聳える堂々たる山容☆/☆
- 毛無山(1945m):200名山、山梨100名山
八ヶ岳と県西部
甲府盆地から北西、釜無川の上流方向(諏訪口)の空を、実に美しいスカイラインが限っている。富士山のそれにも匹敵する八ヶ岳のコニーデの稜線である。(分県登山ガイド/長沢洋)- 赤岳(2899m):八ヶ岳の盟主に登り、南八ヶ岳の核心部を縦走する☆☆☆
- 編笠山(2524m)・権現岳(2715m):観音平を基点に八ヶ岳最南部の伽藍を巡る☆☆☆/体力度☆☆
- 茅ヶ岳(1704m):八ヶ岳と見間違う、長く優美な裾野を持つ☆☆/☆
- 升形山(1650m)・黒富士(1633m):山名の由来がわかる峠からその山に登る☆☆☆/体力度☆☆
- 羅漢寺山(1058m):有名な昇仙峡の西、静けさの残る花崗岩の山々☆☆/体力度☆