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アビー・リンカーン
アビー・リンカーン(Abbey Lincoln、1930年8月6日 - 2010年8月14日)は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身のジャズ・ボーカリスト、女優。本名Anna Marie Wooldridge。ビリー・ホリデイを敬愛し、しばしばビリーの後継者と評価されてきた。(Wikipedia)That's him! (1957)
今週は忙しくて、土曜の今日まで仕事でした。そんな週末の夜、久々にジャズのレコードをターンテーブルに乗っけてみたくなりました。今日は辛口ボーカルの表題作といきましょう。「ニューヨークのため池」、いや「ため息?」と形容されたヘレメリと、「白人、金髪、美人」というキーワードで比べた場合、チョコ負けてしまいそうです。最初の2つには該当しませんが、美人でないかと云われると好みの問題です。本作のジャケでは右の肩紐が外れているところがソソラレますし、サイドメンの充実を考えるとマニアには溜まりません!?(2010/05/22 22:02)
Side A:
- Strong Man (O.Brown Jr.) 5:01
- Happiness Is Just a Thing (Harburg-Arlen) 5:58
- My Man (Pallock-Yvain) 3:57
- Tender as a Rose (P.Moore) 2:56
- That's Him (Nash-Weill) 3:23
- I Must Have That Man (Fields-McHugh) 3:57
- Porgy (Fields-McHugh) 4:24
- When a Woman Loves a Man (Rose-Grainger) 4:25
- Don't Explain (B.Holliday) 6:35
- Strong Man (O.Brown Jr.) 5:03
- Happiness Is Just a Thing (Harburg, Arlen) 5:54
- My Man (Pallock, Yvain) 3:55
- Tender as a Rose (P.Moore) 2:57
- That's Him (Nash, Weill) 3:23
- I Must Have That Man (Fields, McHugh) 3:56
- Porgy (Fields, McHugh) 4:25
- When a Woman Loves a Man (Rose, Grainger) 4:27
- Can't Help Lovin' Dat Man (Kern, Hemmerstein II) 2:59
- Don't Explain (B.Holliday) 6:39
- I Must Have That Man (take3)(Fields, McHugh)* 3:53
- Porgy (take1)(Fields, McHugh)* 4:28
Kenny Dorham, tp; Sonny Rollins, ts; Wynton Kelly, p; Max Roach, ds; Oct. 27, 1957 / Fant. OJC-085, V. VICJ-41780 (Riv. 12-251)
A1"Strong Man"、最初からズンロリのず太いトーンが聴けて嬉しくなります。アビーはこの後、セッションにも参加している太鼓のローチの奥さんになるんですが、「ストロング・マン」って彼ではなくて若しかしてズンロリのことか?と、妙に勘繰ってしまいます。A2"Happiness Is Just a Thing Called Joe"、ハロルド・アーレン作曲、エドガー・イップ・ハーバーグ作詞の映画"Cabin In The Sky(1943)"のための挿入歌です。邦訳すれば、「ジョーと呼ばれたこの人は、幸せそのもの」でしょうか。これだけでは映画の内容をイメージできませんね。本作ではヴァースを省略したアビーの歌唱で始まり、ズンロリの間奏を挟んでアビーに戻ります。A3"My Man"、ケリーのピアノ序奏に始まってアビーの重々しい歌唱が展開されます。途中からリズムセクションが絡んでくると、ズンロリのテナーによる歌伴が少しだけ聴けます。A4"Tender as a Rose"、伴奏なしでアビーが先行して途中からインストが絡んでくるのかと思ったけど、最後までアビーの無伴奏ソロです。A5"That's Him"、タイトル曲になりますが短いケリーの序奏の後、アビーは歌い始めます。ここでは最初にズンロリ、続いてドーハムがバックで絡んでくるところが聴きものでしょうか。
B1"I Must Have That Man"、ドーハム、ロリンズのソロを聴くならば、このトラックが最高ですね。アビーの豪快な歌いっぷりもよろしいですなぁ。最初、アビーのソロで始まるとバックは太鼓のローチだけが伴奏を努めます。途中からアップテンポになってリズムセクションが加わり、間奏のアドリブ展開は、最初にドーハム、続いてズンロリと来ますが、A面5曲に比べて重量感たっぷりで本作の白眉かと思います。B2"Porgy"は、一転してスローなバラード、オトナの歌唱ですな。本作は「白人、金髪、美人」という「カマトト」好きには喜ばれないと思いますが、このトラックだけは別でしょう。B3"When a Woman Loves a Man"、ケリーのピアノ序奏後アビーが叙情的に歌い始めたと思ったら、意表をついたズンロリの歌伴が力強く絡んできます。B4"Don't Explain"は、ベースのソロで始まりますが、なんとこれケリーが弾いてるようです。お陰でピアノレスとなって、ドーハムのミュート吹奏が頑張っていますが、チョコ暗い出来になりました。
60年代になるとアビーは、ローチと一緒に「アタシたち反抗しちゃうんだもんね」になってしまいます。楽しむなら今のうちだよん、という本作でした。でも、アビーのヴォーカルには深い味わいがあります。決して巧い歌い方とは思えませんし華やかさもありませんが、ごまかしのないストレートな歌い方と枯れた声質からは、抑制された哀しみが滲み出している様にも思います。57年録音の彼女の代表作。ジャズ・ヴォーカルの名盤にも挙げられる人気の一枚、敬愛するビリー・ホリデイのナンバーを強力なサイドメンを従えて情感豊かに歌い上げた1枚でした。
Abbey Is Blue (1959)
Source:Wikipedia 2016/2/3
- Afro-Blue (Mongo Santamaria) 3:17
- Lonely House (Langston Hughes, Kurt Weill) 3:38
- Let Up (Abbey Lincoln) 5:29
- Thursday's Child (Elisse Boyd, Murray Grand) 3:29
- Brother, Where are You? (Oscar Brown) 3:08
- Laugh, Clown, Laugh (Ted Fio Rito, Sam M. Lewis, Joe Young) 5:21
- Come Sunday (Duke Ellington) 5:11
- Softly, as in a Morning Sunrise (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg) 2:44
- Lost in the Stars (Maxwell Anderson, Kurt Weill) 4:09
- Long as You're Living (Oscar Brown, Julian Priester, Tommy Turrentine) 2:33
A Turtle's Dream (1994)
source: amazon 2015/12/19
- Throw It Away (A.Lincoln) 5:41
- A Turtle's Dream (A.Lincoln, L.Cugny) 6:28
- Down Here Below (A.Lincoln) 8:46
- Nature Boy (E.Ahbez) 5:04
- Avec Le Temps (L.Ferre) 5:38
- Should've Been (A.Lincoln) 7:57
- My Love Is You (A.Lincoln) 5:43
- Storywise (A.Lincoln) 4:21
- Hey, Lordy Mama (A.Lincoln, N.Simene) 7:13
- Not To Worry (A.Lincoln) 5:46
- Being Me (A.Lincoln) 6:17