Jazz Standards N~
N O P Q R S T U V W X Y Z
N
- The Nearness of You
"Star Dust" の H.Carmichael と N.Washington が1940年に書いたバラード。 「あなたのおそばに」と訳されることもある。私がこんなに興奮しているのはあ なたがそばにいるからよ、と比較的図図しく唄っている。日本語にするとかなり 積極的である。そういうあたりがバラードを日本の風俗に置き換えるときよく起 こる、風俗習慣の違いである。日本でだと、もっと奥床しく、木の陰からそっと 眺めて、溜息をもらしたりするのであるが、向こうは堂々と自己紹介をしちゃっ たりするのである。- The Bud Shank Quartet at Cal Tech ( 1956 Pacific Jazz)
- Love Letter from Maureen O'Hara ( 1958, RCA )
- Ella Fitzgerald - All That Jazz
O
- Oleo(オレオ)
「バグス・グルーブ」のB面を飾ったソニー・ロリンズの名作。- Eric Dolphy in Europe Vol.1 ( Copenhagen, Denmark, 1961 Pres.7034 )
- Tommy Flanagan / Eclypso ( 1977 Enja )
- Miles Davis / Relaxin' (1956 Pres.)
- Miles Davis / Bags' Groove(1954 Pres.)
- Miles Davis at Carnegiehall (1961 Col.)
- Fumio Karashima Trio with Larry Coryell / Round midnight ( Po. 25MX2517 )
- On a Slow Boat to China
フランク・レッサーの作品。1948年にレコード会社の大競作となり、ケイ・カイザー楽団とベニー・グッドマン楽団のレコードがミリオン・セラーを記録した。のんびり中国へ向かう船に乗り、月光に照らされたら、冷たくて固いあなたの心もとろけるだろう、というユーモラスなラブ・ソング。ソニー・ロリンズは、ミディアムより少しだけ速めの心地良いテンポで吹奏する。のんびりと自分の気持ちを愛する人に伝えたいという曲なのだけど、早くできるものは早いに超したことはないという気もする。ロリンズのテンポには、彼の思いが溢れているんである- Ted Brown / Free Wheeling (Vanguard)
- Sonny Rollins with MJQ (Prestige 7029)
- Elegance / Kei Marimura (Discomate)
- One For My Baby
1943年の作品。ミュージカル映画「ザ・スカイ・ザ・リミット(青空に踊る)」(RKO)でフレッド・アステアが紹介した。フランク・シナトラのオハコ。作曲:ハロルド・アーレン、作詞:ジョニー・マーサー。- Frank Sinatra sings for only the lonely (Capitol)
- Rosemary Clooney / Sings The Music Of Harold Arlen
- Once In Love With Amy
フランク・レッサーの作。1948年10月11日からセント・ジェームス劇場で792回上演された「ホエアズ・チャーリ?」のナンバーで、主演のレイ・ボルジャーが歌った。彼のレコードは49年の春にヒット。トーメとペイチはエンディングにエリントン・ナンバーの「シングス・エイント・ホワット・ゼイ・ユースト・トゥ・ビー」を引用するというニクイ仕上がり。- Mel Torme Swings Shubert Alley
- On Green Dolphin Street
N.Wasington-B.Kaper(ブロニスロー・ケイパー)によって書かれた、MGM映画の主題歌。"1958 Miles"では、マイルスがミュートをつけて美しいメロディーを綴った後、うねるようなコルトレーンのソロが聴かれる。- Barney Kessel / The Poll Winners
- Bobby Enriquez / The Wildman Meets the Madman
- Walter Bishop Jr. / Speak Low
- 1958 Miles
- Very tall / The Oscar Peterson trio with Milt Jackson
- Oscar Peterson in Russia
- Kelly Blue / Wynton Kelly Sextet & Trio
- Kenny Drew by request (Baystate)
- Eric Dolphy Quintet / Outward Bound
- Yoshihiko Hosono / featuring T.Nakanishi - Without A Song
- On The Sunny Side Of The Street (明るい表通りで)
この曲を作ったのは、作詞のドロシー・フィールズと作曲のジミー・マックヒューの名ソング・ライター・コンビ。2人が生み出したロマンチックな曲は「アイ・キャント・ギブ・ユー・エニシング・バット・ラブ」、「アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ラブ」・・・、テンダーなトーンの曲ばかりである。この曲では、「コートを着て帽子をかぶり、心配ごとはドアのところに置き去りにして、明るい表通りに出かけよう。足音がハッピーな曲になり、人生はこんなにも素晴らしいと感じる。」、1小節〜2小節にかけて、6度という音程で旋律が跳ね上がるのだけど、ここにはずむような嬉しい気持ちが描き出されている。- Ella and Basie
- Come Swing with Me / Frank Sinatra (Capitol)
- Out Of This World
1945年のハロルド・アーレンの作品。同名のパラマウント映画(本邦未公開)でビング・クロスビーが吹き替えで歌った。作詞は、ジョニー・マーサー、こってりと歌うと重くなってしまうが、ロージーはボサノバのリズム歌い綴っていていい味を出している。- Coltrane / John Coltrane
- Rosemary Clooney / Sings The Music Of Harold Arlen
- Over the rainbow(虹の彼方に)
あの「オズの魔法使い」というよりも、映画の主役を演じたジュディ・ガーランドの代表的な名曲になった。Harold Arlenの、1939年アカデミー歌曲賞受賞曲。ジュディのほかにも、ベテラン・ シンガーがすべて唄っている。- Fontessa / MJQ ( 1956 Atlantic )
- Chet Is Back! / Chet baker Sextet ( RCA Italiana )
- The Amazing Bud Powell, Vol.2 ( 1951 Bluenote )
- 開けてびっくり・ジャズ詩玉手箱
P
- Peel Me A Grape
「ブドウの皮を剥いてちょうだい」っていう、女王様のような女性の歌。ダイアナ・クラールのアルバムに添付されている小山さち子さんの対訳に読んでいると、それは「ぶどう剥いて、氷を割って、桃の皮剥いて、毛は枕のためにとっておいて。」と、とにかく命令的な歌。我が儘な女なんだから、その我が儘をちゃんと聞いて尽くしてよっていう歌かなと思ったりする。ネイティブに言わせると、この"Peel Me A Grape"っていう歌は、この「ブドウの皮」が「服」の意味なんだと言う。本当はセクシャルな意味で、「私は早くあたたが欲しいから、この服を脱がして」っていうことらしい。大人の女性の歌である。
- Diana Krall / Love Scenes / V.MVCI-24004 (Imp.)
- P.S. I love you
手紙の最後に「追伸」と書く人は、平成の時代にはもう死滅してしまったかもしれない。そういう人には、ぜひお勧めしたいのがこの曲。色々と書いたけど、サインの後に、P.S.・・・と書き加えるのが、おしゃれだし、結局これが一番効果がある。嘘だとおもったら一度試してみるといい。このジョニー・マーサーの考案した手は、さすがにシナトラがうまい。- Introducing Lee Morgan ( Savoy )
Q
R
- Recado Bossa Nova
S
- Satin Doll (サテン・ドール)
1953年にデューク・エリントンが書いた、軽いレイジーな曲。これをジョニー・マーサーが歌詞をつけて歌曲となった。 - Shiny Stockings (シャイニー・ストッキングス)
テナー奏者フランク・フォスターが作曲したもので、ベイシー楽団の演奏でおなじみのものだが、下記のアルバムでエラが作詞をしている。 - Sleepin' Bee, A
トルーマン・カポーティとハロルド・アーレンが作詞、アーレンが作曲。1954年12月30日からアルヴィン劇場で165回上演された「ハウス・オブ・フラワーズ」のナンバー。主演のダイアン・キャロルがドロレス・ハーパー他と歌った。トーメの「スイングス・シュバート・アレイ」では、ビル・パーキンス(ts)のスマートなソロを挟んでロマンティックに歌う。- Mel Torme Swings Shubert Alley (Verve)
- So What
Miles Davis の口癖である「だからどうしたんだ」をタイトルにした曲で、アルバム「カインド・オブ・ブルー」(1959年)の初演以来幾度となく取り上げられている- Bill Evans with Jeremy Steig / What's New ( NY, 1969, Verve )
- Miles Davis / Miles in Berlin ( Berlin, 1964 Col. )
- Miles Davis at Carnegiehall ( 1962 Col. )
- Ron Carter / Spanish Blue ( CTI )
- Joe Henderson, Kikuchi and Hino in concert (1971 Ph. )
- Miles in Tokyo ( 1964 Col. )
- Miles Davis / Kind of blue( 1959 col. )
- Softly, As In A Morning Sunrise (朝日のように爽やかに)
かすかなる恋というものがある。風邪にかかる前の微熱を感じるくらいの、すこぶる初期の恋。自分でも何か変だなあと思うような恋。ハマースタインとロンバーグが、1928年のミュージカル「ニュー・ムーン」のために作った微恋の歌だ。「朝日のように爽やかに、恋はそっと忍び寄り、夕陽のようにそっと全てを持ち去ってしまう・・・」淡々としたバラードで、ボーカルだけでなく、インストものでも多くのプレイヤーがとりあげている。- June Christy / Something Cool (1953, Capitol)
- MJQ / Concorde (1955, Prestige)
- Sonny Clark Trio (1957, BlueNote)
- Sonny Rollins / A night at the Village Vanguard (1957, BlueNote)
- Introducing Lee Morgan (1956, Savoy)
- Kelly Blue / Wynton Kelly Sextet & Trio (1959, Riverside)
- Art Pepper / Gettin' Together (1960, Contemporary)
- MJQ / The Last Concert (1974, Atlantic)
- Kenny Drew by request (1985, Baystate)
- Jim Hall, Ron Carter Duo / Alone Together ( Aug. 4, 1972 / Milestone )
- ジャズ詩玉手箱
- MIDI file - Piano Trio、4verse changeの入った力作 (Zip format)
- Someday My Prince Will Come (いつか王子様が)
ディズニーの映画「白雪姫」の主題曲。- Miles Davis at Carnegiehall ( 1961 col. )
- Lena, A New Album / Lena Horne ( RCA )
- Oscar Peterson / Reunion Blues ( 1971 MPS )
- Hey, Brubeck Take Five ( 1961 Col. )
- Bill Evans / At the Montreux Jazz festival ( Verve )
- Bill Evans / Portrait in Jazz ( 1959 Riv. )
- Sometimes I'm Happy
ヴィンセント・ユーマンマの手になる1927年の作品、ミュージカル「艦隊は踊る」のテーマ・ソング。イントロに続いてシングル・トーンによるテーマ提示があり、2小節ブレークの後、シングル・トーンによるアドリブが3コーラスある。- The Phineas Newborn, Jr. Trio - Look Out? Phineas Is Back! (Pablo 2310-801)
- Walter Bishop Jr. / Speak Low (Jazztime JT002)
- The Trio / Oscar Peterson, Live from Chicago (Verve)
- Speak Low
1943年の「ワン・タッチ・オブ・ビーナス」のために詩人のオグデン・ナッシュ(Ogden Nash)とクルト・ワイル(Kurt Weill)が書いた美しいバラード。ナッシュはいわゆるショー・ビジネスの人間ではなく、純文学系の人だったから、ここではティン・バン・アレイの軽いノリではなく、人生の深遠さに及ぶような哲学 が一瞬見え隠れする。それをドイツから亡命してきたクルト・ワイルが独自の作法でメロディをつけたから、不思議な曲に仕上がった。このミュージカルでデビューを果たしたブロードウェイの女王メリー・マーティンが創唱している。ハンク・モブレイはこの曲を、ラティン・リズムをテーマ吹奏に使いながら、ケリー〜モーガンとアドリブを廻していく。愛の言葉は囁くものかも知れないけど、モブレイ〜モーガンのコンビの表現もいいなあ。- Four Freshmen & Five Trombones (Capitol)
- Walter Bishop Jr. / Speak Low (Jazztime JT002)
- Bill Evans / New Jazz Conceptions (Riverside RLP12-223)
- Peckin' Time / Hank Mobley - Lee Morgan (Blue Note)
- Spring Is Here
リチャード・ロジャースとローレンス・ハートの名コンビによる作品。- Bill Evans / Portrait in Jazz ( 1959 Riv. )
- Bill Evans at Town Hall / Bill Evans Trio ( NY 1966 Verve )
- Anita O'Day Swings / Rodgers & Hart with Billy May ( 1969 Verve)
- Miles Davis at CarnegieHall (1961 Col.)
- Stella by Starlight(星影のステラ)
1944年のパラマウント映画「招かれざる客」のテーマ曲としてビクター・ヤングが作曲、その後(46年)ネッド・ワシントンが歌詞を書いた。レイ・ミランド、ルース・ハッシー、ゲイル・ラッセルが主演した映画は邦題名「呪いの宴」となった怪奇オカルト物だが、曲はビクター・ヤングらしい甘美な魅力に満ち、愛の愛の星明りに立つステラを賛美する詩も素晴らしい。47年にハリー・ジェームス楽団のレコードがベスト・セラーになった。ジャズ・メンが好んでとりあげるスタンダード・ナンバーになっている。- Keith Jarrett - Standards Live (1985)
- Miles Davis in concert - My funny Valentine
- Red Garland - Auf Widersehen(MPS)
- T.Honda meets rhythm section featuring S.Watanabe
- Bud Powell Trio
- 1958 Miles
- Bill Evans - Conversation with myself
- Chet Baker Quartet - Jazz at Ann Arbor
- This is Hampton Hawes, Vol. 2 / The Trio
- Gene Ammons All Stars - Funky
- Stormy Weather
1933年にキャブ・キャロウェのためにハロルド・ アーレン(Harold Arlen)によって書かれたが、結局アーレン自身をフィーチ ュアしたレオ・ライスマン楽団のRCA盤で紹介された。同年のレビュー「コット ン・クラブ・パレード」でエセル・ウォーターズが歌い、彼女のブランズウィッ ク盤もヒット、リナ・ホーンの名唱もある。作詞はテッド・コーラー(Ted Koehler)。- Rosemary Clooney / Sings The Music Of Harold Arlen
T
- Tea For Two (2人でお茶を)
1924年にアービング・シーザーが作詞し、ヴィンセント・ユーマンスが作曲したミュージカル「ノー・ノー・ナネット」の主題歌である。ドリス・デイの当たり曲。 - That's all (ザッツ・オール)
アラン・ブラントとボブ・ヘイムズが1952年に書いたバラード。君に僕の愛をあげよう、でもその見返りは何も何も要求しないんだよ、安心して、と鷹揚に歌う。男の歌のような気がするがサラやペギーも歌っている。ナット・キング・コールとメル・トーメがやはりうまい。シナトラも歌っているが、彼の場合は絶対ただじゃすまないみたいな感じがあるから、こういう歌は相ふさわしくない。安心できない。(何事にも人柄というのは出るものです。)- Introducing Lee Morgan (Savoy)
- Them There Eyes
1930年にマセオ・ビンカード・ウィリアム・ドレイシー、ドリス・タウバーが共作したもので、ビリー・ホリディも得意にしていた。 - Then I'll be tired of you
アーサー・シュワルツとハワード・ディーツの傑作。ディーツはハリウッドのスタジオのエグゼクティブだったこともある才人。シュワルツと一緒に名曲を沢山書いた。ここでは例によってひねった表現で、世の中が逆さまになるようなことがあったら、僕は君のことを嫌いになるさ、と歌う。勿論そうなるわけないから、2人は決して別れない、と言いたいのである。ミュージカル「キャロメット」の「あなたを捨てるとしたら」と同じ仕掛けである。日本風に言うと、「太陽が西から上がったらお別れよ」ということか。- Like someone in love / Ella Fitzgerald ( 1957, Verve )
- Comin' Your Way / Stanley Turrentine ( BN 84065 )
- There is no greater love
1936年にピーター・デー・ローズが作曲したバラードで、ミュージカル"New Ziegfeld follies"にも使われた。ロリンズの『ウェイ・アウト・ウェスト』でのこの曲は、幌馬車に揺られながら西部へ西部へと進む開拓者たちの姿がよくにじみ出た演奏で、牧歌的なロリンズのテナーが特に印象的。- Paul Chambers / Go ( 1959, Vee-Jay )
- Sonny Rollins / Way Out West ( Mar.7,1957, Cont. S-7017)
- Dinah Washington with Crifford Brown ( Aug.14, 1954, Emarcy MG36000 )
- Helen Merrill, Ron Carter / Duets ( Emarscy EJD-1 1989, Digital)
- The New Miles Davis Quintet ( Dec.16, 1955, Pres.7014 )
- The Oscar Peterson Trio / Live at the London House ( Sep.27,1962, Ver. )
- Gene Ammons, Sonny Stitt / Boss Tenors ( Aug.27, 1961, Ver. V6-8426 )
- Sam Jones / The Soul Society ( Mar.8,10,1960, Riv.12-324 )
- Miles Davis The Complete Concert 1964 / My funny Valentine + Four & More ( Feb.12, 1964, Col. C2K-48821 )
- Lou Donaldson / Wailing with you ( Jan.27, 1955, BN. )
- Sonny Rollins / Way Out West ( Mar.7, 1957, Cont. S-7017 )
- The Thrill Is Gone
1931年のショウ「ジョージ・ホワイトのスキャンダル」からの1曲。作曲がレイ・ヘンダーソン、作詞がリュー・ブラウンである。ヘレンもクリスに迫る快唱をみせる。- This is Chris / Chris Connor (Bethelehem) 1955
- Helen Merrill / You've got a date with blues (Verve) 1959
- Time After Time
サミー・カーンとジュール・スタインがフランク・シナトラの出演した映画「下町天国」のために書いた1947年の曲。何故か女性シンガーに取り上げられることが多い。それは詩が余りに甘すぎて、大の男が歌うのは照れるから。いつもいつも、君のことを思っている自分は何と幸せ者、だもの。しかしこれをシナトラは驚くほどまともに歌い評判になった。- This is Anita ( Verve )
- The Eminent Jay Jay Johnson, Vol.2 ( BLP-1506 )
- Too Close For Comfort
Jerry Bock、Jorge Wise、Holofcener の合作。1956年3月22日からブロードウェイ劇場で383回上演された「ミスター・ワンダフル」のナンバーで、主演のサミー・ディビス・ジュニアーによって歌われた。同年春にイーディ・ゴーメのレコードが大ヒット。トーメの「スイングス・シュバート・アレイ」での小気味良い乗り、アート・ペッパーのソロが光る。 - Too Young To Go Steady
ハロルド・アダムソン作詞、ジミー・マクヒュー作曲。1955年のミュージカル「ストリップ・フォー・アクション」のナンバー。恋なんて若すぎると彼女は言う、待ったほうがいいと言う、でも待っていたら手遅れだ、という情熱おさえ難い恋の歌。56年にナット・キング・コール、パティ・ペイジ、60年にコニー・スティーヴンスのレコードがヒットした。原曲のメロディ提示で思い切り優しく歌うキース。アドリブに入って、そのピアニスティクな美しさはさらに輝きを増す。- Keith Jarrett - Standards Live
U
V
- Very Thought of You, The(君に想いを)
イギリス出身のレイ・ノーブルの作詞、作曲。彼は1934年にこの曲を作って、イギリスでヒットさせた後、アメリカに活動の場を移す。イギリスにいた時からビッグ・バンドのリーダーだった彼は、アメリカでもグレン・ミラーの協力でメンバーを集めてバンドを結成して活躍する。その後ハリウッドで音楽監督なんかを経験するんだけど、その道ひとすじというタイプじゃなくて、おおらかに音楽に接していくタイプ。そんな彼の生き方が、作品に反映されている。「あなたのことを想うと、私は、普段のするべきことを全て忘れてしまう。デイドリームを見ているよう。王様のように幸せ・・・」、曲の形式はABAB'、1回も#とbは出てこない。そのことが、この曲を童謡のような優しいトーンの曲調を生み出している。- Red Garland's Piano (Prestige)
- The Very Thought of You / Nat King Cole (Capitol)
- Elegance / Kei Marimura (Discomate)
- Violets for Your Furs(コートにすみれを)
トム・アディア作詞、マット・デニス作曲のバラード。41年シナトラが歌ったドーシー楽団のレコードでヒット。シナトラのテンダーネスなムードの良さに脱帽だ。インストものではコルトレーン、彼ならではの引き締まったバラード・プレイに聴きいってしまう。コートはテニス・コートなどではなくて、ここでは女性の着る毛皮のコートを想像してください。(念のため)- Coltrane / John Coltrane (Prestige)
- Sing easy / Frank Sinatra (Capitol)
W
- Way You Look Tonight, The(今宵の君は)
ドロシー・フィールズ作詞、ジェローム・カーン作曲。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが主演した1936年のRKC映画「スイング・タイム」(邦題名「有頂天時代」)でアスティアが歌った。アカデミー主題化賞を受賞。いつの日か私が失意に沈み、世間が冷たくなったとき、今宵のあなたの様子を思えば心が温かくなるだろう、といった名作バラード。61年にレターメンのレコードがヒットした。ジャズメンはこれをアップ・テンポでやりたがる。- Art Pepper - The Way It Was
- Jackie McLean Quintet (Jubilee)
- Eric Dolphy in Europe, Vol.2
- Art Pepper - Gettin' Together
- Johnny Griffin - A Blowing Session
- Anita O'Day Sings Jimmy Giuffre Arrangements - Cool Heat
- Keith Jarett Trio - Standards Live
- We'll Be Together Again
1945年にカール・フィッシャーと歌手のフランキー・レインが書いた悲痛な別れの歌。きっとまた会えるさと歌うが、これは永遠の別れであるのを二人は良く知っている。別れの歌の代表作。フランキー・レインの自作自演もいいが、これは無駄の少ない曲である。サミー・ディビスは珍しくリブリーズにも2回吹き込んでいる。- Stan Getz at the Shrine ( 1954, Verve )
- Anita Sings the Most / Anita O'Day ( Verve )
- 開けてびっくり・ジャズ詩玉手箱
- What is There to Say?
バーノン・デュークとエドガー・イッブ・ハーバーグが1933年に書いた曲。「もう何も言うことはない」と訳すと、別れの歌のようであるが、恋の満腹感を歌ったものと言われれば納得がいく。しっとりと歌われるそのムードは非常に濃厚な大人の情感を持つ。ベッドの後の2人の語らいのようなニュアンスが漂うのだ。”君は愛らしくて生き生きとしていて、こよなく素晴らしい”と歌われる。そういう意味では男の歌だが、女性が歌うとえも言われぬ色香が漂う。デュークとイッブ・ハーバーグ、ただものではない。- Easy Like / Barney Kessel Vol.1 ( 1956, Cont .)
- What Is This Thing Called Love
コール・ポーターのこの曲は、恋に悩む人の苦悶のスタンダードである。1929年のミュージカル「起きて夢見よ」の主題歌。大姉御アニタが「このクレイジーな恋って、一体何だろう・・・?」と自問するところが憎らしい。- Charlie Parker with Strings (1950, Verve)
- Jam Session / Clifford Brown All Stars (1954, Emarcy)
- Hampton Hawes trio, Vol.1 (1955, Contemporary)
- The Artistry of Pepper / Art Pepper (1956, PacificJazz)
- Phineas Newborn / Phineas' Rainbow (1956, RCA)
- Red Garland / A Garland of Red (1956, Prestige)
- Curtis Fuller / New Trombone (1957, Prestige)
- Bill Evans / Portrait in Jazz (1959, Riverside)
- Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May (1959, Verve)
- What's new
別れてしまった恋人に、しばらくぶりだけど「元気?」というような、軽い、しかし意味深なハートをこめた言葉である。リンダ・ロンシュタットがネルソン・リドルのバックでリバイバルさせた1939年のジョニー・バークの詞である。こういう未練たっぷりの曲は、やはり男よりは女性が唄ったほうが胸を打つ。ペギー・リーが枯れた味を出しているが、あのクリフォード・ブラウンと共演したヘレン・メリルのヴァージョンが、曲の雰囲気を一番捉えているようだ。- Ballads / John Coltrane ( 1962, Imp. A-32 )
- Art Pepper / The Way It Was ( 1960, Cont. )
- Bill Evans with Jeremy Steig / What's New ( 1969, Verve )
- MJQ / The Last Concert ( 1974, Atl. )
- Frank Sinatra sings for only the lonely ( Capito l)
- 開けてびっくり・ジャズ詩玉手箱
- Willow Weep For Me
映画「エヴァの匂い」にビリーのレコードが使われ非常に効果を挙げたという。晩年のビリーのレパートリーの中では最も有名。どことなく捨て鉢な崩れた歌いかたをするビリーの表現に、恋の痛手の切々とした感情が込められている。インストものでも、多くのアーティストに手がけられている。- Milt Jackson / 1952 / Bluenote
- Fontessa - MJQ / 1956 / Atlantic
- Bohemia After Dark - Kenny Clarke / 1956 / Savoy
- Red Garland trio - Groovy / 1956 / Prestige
- Tommy Flanagan trio - Overseas / 1957 / Metronome
- Sarah Vaughan at Mister Kelly's / 1957 / Mercury MG-20326
- Frank Sinatra sings for only the lonely / Capitol
- The Three Sounds / 1958 / Bluenote
- Billie Holliday - Lady Sings The Blues / 1959 / Verve
- Kelly Blue - Wynton Kelly Sextet & Trio / 1959 / Riverside
- Dexter Gordon - Our Man in Paris / 1963 / Bluenote
- Wes Montgomery - A Day in the Life / 1970s? / A&M
- 開けてびっくり・ジャズ詩玉手箱
X
- You Made Me Love You
初級英語の授業じゃないが、英語というのは、よくこういう言い回しをするものである。"I make my love to you"と言えばいいのに、みんな人のせいにしてしまう。それが悪いと言っているのではない。確かにこのように他人のせいにした方がひとの興味を引くのも確かである。"You make me feel so young"等は、その好例だろう。わたしが望んでいた訳じゃないのに、あなたに恋をさせられてしまった・・・と言われて悪い気はしないだろう。ジョセフ・マッカーシーの作詞で、ジョディ・ガーランドがクラーク・ゲイブルのために唄ったのが初めというが、ドリス・デイが映画「情欲の悪魔」で唄ったものが最高だ。- Four Freshmen & Five Trombones ( 1955, Capt. )
Y
- Yesterdays
- John Lewis / Improvised Meditation & Excursions
- MAL-1 / Mal Waldron
- The Wes Montgomery Trio
- Paul Chambers / Bass on Top
- The jazz messengers at the Cafe Bohemia, Vol.2
- The Oscar Peterson Trio Live at the London House
- This is Hampton Hawes, Vol. 2 / The Trio (C3515)
- Groovin' with Golson / Benny Golson Quintet
- Ella Fitzgerald / The Jerome Kirn Songbook
- Heren Merrill with Crifford Brown
- Booker Ervin / The Song Book
- Billie Holiday - Complete Edition
- Billie Holiday / Lady in Autumn (Disk 1)
- You'd be so nice to come home to
43年の映画「サムシング・トウ・シャウト・アバウト」で主演のドン・アメチとジャネット・プレアが歌ったコール・ポーターの作品。アカデミー主題歌賞にノミネートされた。当時、ダイナ・ショアのレコードがヒットしている。オハラの歌唱も個性的でなかなかのもの。- MIDI file - Mass Midi (ZIP形式で圧縮)
- ジャズ詩玉手箱
- Heren Merril with Crifford Brown ( 1954, Mercury )
- Paul Chambers / Bass on top ( 1957, Bluenote )
- Art Pepper Meets Rhythm Section ( 1957, Contemporary )
- Love Letter from Maureen O'Hara ( 1958, RCA )
- Anita O'Day Swings / Cole Porter with Billy May ( 1959, Verve )
- Jim Hall / Concierto ( 1975, CTI )
- Kenny Drew by request ( 1985, Baystate )
- You Go to My Head
1938年にフレッド・クーツが作曲し、ヘヴン・ガレスピーが作詞したもの。リー・コニッツからのジャズメンが好んでバラッドの素材として採り上げてきた。ヘレンは器用で、フランス語、イタリー語、日本語で歌うことができる。- Clifford Brown / Memorial Album (Bluenote) 1955
- Dinah Washington with Crifford Brown (Emarcy) 1954
- The Amazing Bud Powell, Vol.2 (Bluenote) 1949
- Helen Merrill / You've got a date with blues (Verve) 1959
- Best Coast Jazz / Clifford Brown All Stars (Emarcy) 1954
- Yours Sincerely
29年のミュージカル「スプリング・イズ・ヒア」のナンバーで、ロレンツ・ハート(詞)とリチャード・ロジャース(曲)という名コンビの作。手紙の形によるラブ・ソング。ミディアム・スイングのリズムに乗ってオハラはロマンティックに歌う。- Love Letter from Maureen O'Hara ( 1958, RCA )
- You've Changed(心変わりしたあなた)
ビル・ケアリー(詩)とピアニストのカール・フィッシャー(曲)が1941年に共作。愛の終わりを嘆く悲痛なバラード。同年10月に録音したハリー・ジェームス楽団(歌手ディック・ヘイムス)のレコードで注目された。54年にコニー・ラッセルのレコードがあヒットしたことがある。このアン・バートンは本当に素晴らしい。全く女性的なデリカシーと甘さ。軽い歌いまわしと表情から感じられる深い哀しみのニュアンス。Blue Burtonのハイライトだと思う。- Blue Burton / Ann Burton with The Louis Van Dyke Trio